キャナルアート 美しい街には魅力的な水辺がある~名古屋のキャナルアートの取り組み

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 世界の街を回り、美しいと思う街にはかなりの確率で魅力的な水辺がある。海であったり、川であったり、湖であったり、池であったり、運河であったりするが、人間にとって、美しい水辺は心を打つもののようだ。ヨーロッパで美しいといわれる街としては、ストックホルム、プラハ、パリ、ロンドン、ブダペスト、ミラノなどが挙げられる。すべて美しい川や海が街のイメージをアップさせている。水辺をどう活かすかが、街づくりには非常に大切なのだ。街を生かすも殺すも水しだい、と言っていいだろう。よくは分からないが、やはり生命の母なる水に人は安らぎを感じるのだろう。

 名古屋はポテンシャルの高い都市と言われる。交通インフラもかなり整い、リニアもやってくる。東京と大阪の間に存在し、トヨタの拠点だから、ものづくりの中核として繁栄してきた。経済力もある。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三武将の地域でもありますから歴史・文化も豊かだ。

 しかし、何か物足りない。その一つは水辺だ。名古屋は大都市だが、街を貫くような川がない。東京には江戸川、中川、荒川、隅田川と大きな川が4本南北に平行して流れている。京都には鴨川がある。京都の夏の風物詩である鴨川納涼床なんて素晴らしいですね。横浜や神戸の港、伊勢の五十鈴川、広島の太田川など、風情ある街には必ず水が生かされているのだ。

 名古屋にも水辺はあるが、伊勢湾を望むには南に行かなければならない。大きな川はなく、堀川はもともと運河として作られたもの。庄内川から取水する形で発祥し、矢田川を地下水路で伏越したのち名古屋城のある南西方向へ流れている。迫力はない。名古屋城の掘りもあるが、それも上手く生かされているとは言えない状態だ。一言で言えば、風情がないのだ。

 そこで注目されたのが中川運河。中川運河は、名古屋港と旧国鉄笹島貨物駅とを結ぶ運河で、支線を含めた全延長は約8.2km、水域の幅員は約 36~91m、水深は約3m の規模を有している。この運河を生かして、アートと市民活動で市民の新たな交流の場とする試みがなされている。一般社団法人中川運河キャナルアートが設立され、これまでに独自のアートイベントやシンポジウム、勉強会を開催し中川運河の活性化を目論んできた。面白い試みだ。

 世界の運河の取り組みを結び、中川運河の魅力を世界に大きく発信するために「世界運河会議(仮称)」を提案している。この中川運河の展望を考察し、世界運河会議を構想するためにシンポジウムが開催された。

 石川 幹子(中央大学理工学部人間総合理工学科 教授 東京大学 名誉教授)による講演「世界における都市の水環境回復の歴史と展望」がまずあった。世界の都市の取り組みを紹介しながら、名古屋の取り組みの展望が語られた。

 藤田 正彦(一般社団法人中川運河キャナルアート 副理事長、株式会社テラ 代表取締役)による「キャナルアートの報告と世界運河会議に向けて」の発表、清水裕二(一般社団法人中川運河キャナルアート 理事、愛知淑徳大学 教授)による「中川運河とアートにについて」の発表、尾藤文人(国土交通省中部地方整備局 広域水管理官)による「水辺の魅力発信 世界ミズベリングを事例に」の発表が行われた。実際の活動が報告された。

 最後は、愛知大学 経済学部経済学科 辻 隆司ゼミによる「中川運河再生プランについての一考察」(報告者:小野要、村上立敏、村橋大地)が報告された。

 水とアートをつなぐ街づくりだ。こうした試みが街を新たな次元にあげる。一般社団法人中川運河キャナルアートの理事長・松林正之氏はこの試みを「いわば“ものづくりとアートの融合による新たな価値の創造”です」という。風情がないと言われた名古屋が水とアートによる魅力ある街に生まれ変わろうとしている。

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