ムラサキイガイ廃棄物の再利用の挑戦~高品質カルシウム剤に変わる

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%e3%83%a0%e3%83%a9%e3%82%b5%e3%82%ad%e3%82%a4%e3%82%ac%e3%82%a4 ムール貝は美味しい。フランス料理やベルギー・オランダ料理などの食材としてよく知られている。ムール貝のワイン鍋などをベルギービールを片手に食べるのは極楽の境地だ。私は大好きで、ベルギーやオランダではよく食べる。日本でも最近は洒落たレストランでは料理として出されるようになった。
 このムール貝は日本ではムラサキイガイなどと呼ばれている。このムラサキイガイは繁殖力が強く、日本では牡蠣の養殖筏などに取り付くなど厄介者とされている。船底にも付着するので定期的に取り去らなければならない。かなり汚い海でも育つこともあり、毒を蓄える時がある。日本ではムラサキイガイ、つまりムール貝は食べないように、という意識がついていたようだ。
 臨海発電所では取水設備などにも大量に付着し、処理に困っている状態だ。どんどんと繁殖するので、廃棄しても廃棄してもまた元に戻るという感じになる。これまではこのムラサキイガイは産業廃棄物として捨てていた。しかし今の日本では産業廃棄物処理は多額の費用がかかるだけでなく、廃棄場所を探すのも難しくなっている。捨てればいい、という時代は終わりにしなければならない。
 廃棄ムラサキガイを処理して、高品質の天然炭酸カルシウム製品を作る技術が開発されている。厄介な廃棄物が高品質の商品に変わるのはみていて痛快だ。この循環型ビジネスを進めている株式会社ビジネスサポートOJTを訪れてみた。この工場は知多半島にある。知多半島は、自然豊かな土地で、農業、漁業だけでなく、牛や鶏の畜産業も盛んなところだ。こうした地場産業と連携しながらこの循環型ビジネスは展開している。自然のものを自然に返し、その恩恵で豊かな社会を作っていく。知多の自然の豊かさがこうした発想を育んできたとも言える。自然で生まれたものを有効利用して、自然に返していく。地球の力を感じさせてくれる循環だ。
 このムラサキガイ廃棄物をリサイクルする時の課題は幾つかある。まずはムラサキガイ廃棄物には泥や様々な不純物が混じっている。これを効率よく除去し、ムラサキガイの殻だけにしていかなければならない。かなり大変な作業だ。それ以上に難しい課題が、塩分の除去だ。塩分が入っていると、農地の肥料などとして使うことができなくなる。塩分が強ければ塩害の原因にもなりかねない。家畜の飼料にも向かなくなる。この二つの課題を長年の試行錯誤で解決し、商品化に成功している。炭酸カルシウム含有量92.5~99.3%は、天然素材のものとして最高レベルの高濃度といえる。
 このムラサキイガイ廃棄物からのリサイクル商品は、牛や鶏などへの貝殻飼料、農地への肥料、土壌改良剤などとして活用されている。知多半島は畜産が盛んで、酪農や知多牛というブランド肉用牛、養鶏、養豚などが産業を支えている。大都市名古屋が近いので、付加価値のある畜産業が展開されている。リサイクルで誕生した高品質の天然素材貝殻剤は、地域で高い評価を受けているようだ。農業でも近郊農業として野菜、果物、花きなどが育てられている。高品質な農作物をつくるためにこの炭酸カルシウム剤は効果をもたらしているようだ。酪農業者からは「乳の出が良くなった」「濃い味の乳になった」などという声が寄せられている。最もよくわかるのは鶏の卵。殻がしっかりとしたという。
 捨てれば単なるゴミでしかない。しかも大量のゴミだ。それを新たな技術で地域産業を支える商品とするところに、共感できる。事業を展開してきた人たちに思いを聞いてみた。「価値がないと捨てられていたものに価値を与えるのが、私たちの仕事だ。これからの社会は、すべてのモノに新たな価値を吹き込むことが大切だと思う。これは人間にも当てはまる。すべての人に新たな価値を吹き込んで、社会創造の力とする。これを信念にして、リサイクル事業に取り組んでいきたい」と語っていた。
 一般的にこうしたリサイクル事業はいわれているほど成功はしていない。まだ大量生産・大量消費の「効率」の力の方が強い。ただこのスタイルは環境負荷が高く、廃棄場所もいずれなくなることから、確実に行き詰まるはずだ。日本の循環型社会の技術と熱い思いは未来を切り拓いていくと思う。そう感じさせる挑戦だ。

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