公開討論会の勧め

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選挙の前に、青年会議所のみなさんを中心にして各地で公開討論会が開催されている。公開討論会が日本で始められてから20年が経った。リンカーン・フォーラムが中心になって、公開討論会を企画し、実施してきた。最初は、公開討論会への理解は立候補予定者から得ることができない時が多かった。「公職選挙法に違反する」「他陣営のまわしものだろう」「選挙は遊びじゃないんだ」などといった批判を浴びながらの立ち上げであった。その当時は今よりもずっと、選挙は利権の争いであった。公開討論会が選挙に有利か、不利かという視点だけで参加・不参加を考える陣営が多く、立候補予定者がそろうのは至難の技であった。実際に、公開討論会の事務局に嫌がらせもあった。選挙の前に政策の討論をするというのは「当然」と考えられるが、最初の頃は、公開討論会の事務局に「夜道を気を付けろ」といった圧力まであった。

しかし、徐々に公開討論会は社会的に認められるようになり、選挙ごとに公開討論会が開催されるところも多くなった。日本青年会議所のみなさんが、積極的に公開討論会を推進してくれるようになったことも大きなポイントであった。彼らの実践力と地域への貢献をしたいという情熱は最近の公開討論会を支えている。今は、青年会議所が公開討論会を主催し、リンカーン・フォーラムが後援・支援をしていく形ができあがっている。

公開討論会を実施する上で重要なのは、1.立候補予定者に参加してもらうこと、2.会場設定などの運営、3.宣伝等による集客、4.中立・公平で議論を展開させるコーディネータ、である。いずれも思っているよりも大変な作業である。意外と難しいのが集客。選挙の前には立候補予定者の出陣式などがある。A氏の陣営は3000人の出陣式、B氏の陣営は3500人の出陣式、C氏は2000人の出陣式であったという情報が伝わってくる。自分の応援する人がどのような政策を訴えるのかを聞きたいに違いないと考えた。当然、500人くらいの有権者は集まると期待していても、実際には100人以下になることもあった。「政策なんてどうでもいい。重要なのは候補者に恩を売り、政治家との縁を強めるための選挙応援」ということなのだろう。これはおかしいのであるが、このおかしい状況を変えるためにも多くの人に公開討論会に来てもらい、新たな政治の流れを作ることが必要である。一般的にはやはりクチコミ宣伝が最も効果があるようだ。民主主義ではこうした地道なクチコミが重要なのであろう。

コーディネータ養成講習会も開催されている。これはコーディネータの技術を向上させるものである。よくテレビの討論会などでは相手を罵倒するような政治討論会がある。他者が話している時に無理やり割り込んだり、ヤジを飛ばしたりするときもある。しかし、選挙前の公開討論会ではそういうイメージとは全く異なる雰囲気で進む。時間を明確に決め、政策がしっかりと述べることができる機会の提供ということだ。選挙前なので、誰もがかなり神経質になっている。だから、特定の人に肩入れするような質問をしないことは当然、重要だ。

ただそれだけではあまりに議論が面白くない。私が気をつけているのは、できるだけ議論を1.具体的に誘導すること、2.各政策に住民をどのように巻き込むか、3.住民への情報提供をどのようにするのか、4.町をどのようにしたいのか、大きな青写真があるのか、の視点から聞いていくことだ。公開討論会では、「教育を充実させます」「住民に優しい町にします」「福祉の町にします」「子育ての優しい町にします」…などという耳障りのいい言葉が出る。しかし、具体的な政策が全く話されないことが多いのだ。

実際に、具体的に聞いていくとほとんど具体的な政策がないと考えられるような候補者が多い。かなり驚かされる。政治家の質が問われてるが、こうした具体的な政策を構想し、住民とともに実践することができる政治家が必要なのだ。そのためには、最も重要なのは住民自体が、具体的な政策を構想でき、政治家を動かし、自らが政策を展開できるようになることである。政治を政治家だけに任せていたから、だめな政治になってしまった。政治を国民・市民が取り戻すことが求められている。

そのためにも、選挙ではできるだけ多く公開討論会を実施してほしい。そしてできるだけ多くの有権者にその公開討論会を聴きに行って欲しい。

国政選挙だけでなく、自治体選挙でも常に開催され、住民が自分の住む町や社会に関心を持つこと。ここから新たな社会づくり、政治文化の形成ができるのではないかと思う。

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