国産の木材で温かみのある家具を~日本の木製家具の文化を守り、育てる木工アーティストたち

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 日本は木の国だ。国土の68%が森林で、日本人は木とともに生活を営んできた。木の家に住み、木の机、木の椅子、木の箪笥や棚に囲まれて生活してきた。木の玩具で遊び、木のお椀に木の箸でご飯を食べてきた。木には神が宿るとされ、木に対する崇拝思想もある。日本人と木とは切っても切れない深い関係がある。

 しかし、その日本の木が劣勢だ。まず、木材以外の素材が圧倒的に優位になってきた。木造家屋の割合も1968年には90%を超えていたが、2008年には60%を切っている。集合住宅などではかなりの割合が鉄筋コンクリート造りになっている。日常用品も、金属やプラスチックなどの材料が多くなった。木製の子どもの玩具は珍しくなったくらいだ。

 しかもその「木」の多くは、海外からの輸入材だ。安価な海外からの木材が輸入され、日本の木材の使用は限定的になっている。その結果、日本の山や森は放ったらかしにされ、荒れてしまった。日本の木材が使われなくなったのだ。結局、日本は豊かな森林資源を持ちながら、木材の輸入大国になっている。国内需要の実に約8割が輸入材木だ。カナダやアメリカ、ロシア、マレーシアやインドネシア、ヨーロッパなどから日本に輸入されている。

 日本の輸入規制は厳しくなく、違法な伐採による木材や木材製品も日本に入っている。ロシアで違法伐採された木材が中国で加工され、学習机や箪笥などとして輸入されている実態がある。海外の乱伐採による木材資源の枯渇を促進し、日本の山が荒れ山になるのを放ったらかしにしている状態だ。2016年5月に「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」が参議院本会議で可決成立した。既にグリーン購入法では紙や木材に対して木材の合法性の確認が義務付けられている。日本の新たな違法伐採対策法が成立したことになる。遅かったがまずは第一歩だ。

 日本の木製家具の文化を守り、育てようとしている木工デザイナーの人たちもいる。一時はそうした手作りの木工職人は消え去る状態にあったが、日本の木工文化を守ろうとする新たな人材もでてきた。木の温かみと手作りの優しさを活かして、使えば使うほど味わいのある家具が作られている。

 その木工デザイナーの一人、油田陽一朗さんを訪れた。三重県津市の里山集落に位置する『家具工房 NEW FOREST』の主である。受注生産を中心に活動を続けている。一つ一つの木製家具の創作に時間がかかるので、大量受注、大量生産はできない。輸入材で大量に生産する大企業のやり方とは一線を画する。お客さんの要望に応えながら国産木材に新たな生命を吹き込んでいく作業だ。椅子や机、箪笥などの作品は、一つ一つが1週間から数ヶ月かかる。手間と時間と気使いが大量にかかる作業だ。『家具工房 NEW FOREST』には完成品も見たいというお客さんの要望に応えて、2005年にショールームが備えられている。確かに日本の木材ならではの温もりが感じられる。

%e6%9c%a8%e5%b7%a5%e5%ae%b6%e5%85%b7 油田さんは日本の木材の優しさと木工文化の素晴らしさを多くの人に伝えたいという。日本の木材使用からすれば、こうした手作りの木製家具の気の使用量はわずかでしかない。しかし、日本の木の文化の象徴的な意味があるという。資本主義の論理からすれば、割り高の日本の木材を使用して、これだけ時間をかけて一つ一つを手作りする木製家具は効率が悪いのかもしれない。しかしこの効率の悪さの中にこそ、人間的な温かみのある文化が息づくというのだ。

 日本の山は荒れている。日本の木は見捨てられている。それは日本の心が失われていることにつながるのだ。幸いに日本には、手作りの木製家具の文化を守り、育てようとする木工職人、木工アーティストの人ががんばっている。もう一度、木の大切さと木の文化の素晴らしさを見直す時期なのかもしれない。

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