訪日外国人急増に対応すべき12の課題

2015-01-05 12.13.14-3
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日本を訪れる外国人旅行者の数はここ数年で激増しています。日本政府観光局のホームページからのデータによると、以下のように増加しています。

2011年  6,218,732人

2012年  8,358,105人(前年比34.4%増)

2013年 10,363,904人(前年比24.0%増)

2014年 13,413,467人(前年比20.4%増)

2015年 19,737,409人(前年比47.1%増)

2016年に入ってからも増加は続いています。1月は1,851,800人、2月は1,891,400人で、この傾向が続けば、2016年には2500万人を超える可能性もあります。すごい伸びです。

日本政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に、旅行者を15年の約2倍となる年間4000万人に引き上げ、買い物などで使う消費額を2倍超の8兆円に増やす目標を打ち出しました。30年には旅行者6000万人、消費額15兆円を目指すといいます。日本の経済にとってもプラスですし、平和立国を目指すうえでもいいことではあります。安倍首相は「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で、「(外国人旅行者の増加は)GDP(国内総生産)600兆円に向けた成長エンジンと位置づけています。今の増え方からすれば不可能ではありませんが、実際には訪日外国人がどんどんと増えていくには多くの課題があります。それをクリアしなければ混乱を引き起こしかねません。社会にマイナスに働くことも十分に考えられます。12の課題を考えてみましょう。

1.ホテル・旅館のキャパの限界

既に今の段階で、大都市のホテル・宿泊施設のキャパは限界に近い状態です。東京、大阪、名古屋、福岡などでは、日によってはホテルの予約が取れません。最近はカプセルホテルまで満室になることもあり、空いているのは5~6万円以上の高い部屋だけ、ということがあります。異常な状態です。これだとビジネスにも影響しかねません。ホテル・旅館には大きな投資が必要ですし、長期にわたるビジョンが求められます。すぐにはホテルを増やすというわけにはいかず、問題となっています。また、労働力の不足も問題となっています。必要な人材を確保できない事態が起きています。この状況の解消の一案として民泊が考えられていますが、この民泊も問題化している部分もあり、解決の切り札にはなりません。

2.空港キャパの限界

観光客が増えると、空港のキャパも問題になります。飛行機の便をどんどんと増やすわけにはいきません。ちょっと前には考えられなかった悩みですが、実際に4000万人の訪日外国人を迎え入れるとなると、こうした問題が起きてきます。また入国審査も問題になっています。外国人観光客急増で入国審査が追いつかないのです。「早く」審査し、スムーズに入国・出国をすることと、テロなどの対策もあり「厳格に」審査することもますます重要になっています。まさに板挟み。数が増えると、入国審査に長蛇の列、ということになりつつあります。

3.公共交通機関のキャパの限界

2~3年前までは新幹線などの席は正月や盆、ゴールデンウィークなどのピーク時を除いては直前でも取れるのが当たり前でした。しかし、最近は平日でも日によってはほぼ満席の時がでてきています。外国人旅行者の増加も一因です。すべての公共交通機関ではなく、外国人が使うものという偏りがあります。しかし、ここでもキャパの限界がでてきています。

4.地域的偏り

現在、訪日外国人旅行者はまんべんなく日本の観光地を回っているわけではありません。大都市や特別な観光地に偏っているのです。これは情報発信の問題や観光地の努力の問題と関わります。東京や大阪、名古屋、福岡は満杯状態ですが、四国や東北は非常に少ないのです。関東の中でも、東京、神奈川は外国人が多くても、埼玉、茨城、栃木、群馬などにはほとんど外国人旅行者は行っていません。ホテルの問題も、こうした偏りも一因です。

5.外国語問題

日本人の外国語の下手さは有名です。英語でさえ、なかなか通じません。中国語、韓国語、インドネシア語、タイ語、ロシア語などといったらさらに問題です。外国人旅行者にとってはコミュニケーションが取りにくい国なのです。根本的に日本人が外国語をもっと学ぶべきということはありますが、すぐに効果がでるものではありません。日本語のできる外国人の宿泊施設や公共施設での採用なども手がける必要があります。

6.Wi-Fiや携帯電話の利用

外国人旅行者の不満の一つは、日本でWi-Fiが無料でつながるところが少ないことです。今の時代、インターネットのアクセスは旅行者にとって生命線に近いものになっています。少なくとも観光地の施設などではWi-Fiのアクセスができるようになるといいです。また携帯電話のシステムが海外と違うことも問題です。やっと日本でも携帯電話のsimを変えることができるようになりました。外国人向けのプリペイドsimの普及がさらに重要になります。

7.外国人対応のメニュー

日本食は魅力の一つですが、イスラム教徒、ヒンズー教徒、ベジテリアンなどには特別なメニューが必要です。ハラール対応のメニューの開発や牛肉などを使わないメニュー、完全ベジタリアン向けのメニューなどが必要になります。郷に入れば郷に従え、とばかり言ってられません。日本料理には精進料理などの伝統もあり、ベジテリアンにも非常に美味しい料理を提供することができます。外国人旅行者が増えるとなればこうした対応も求められます。

8.病院・警察などでの対応

外国人旅行者が増えると、日本語が全くできない滞在者が増えることになります。病院や警察等の公共施設では外国人への対応も必要になります。英語だけでなく、中国語、韓国語、ロシア語、フランス語、スペイン語、インドネシア語、タイ語などには対応できるシステムを作っておかなければなりません。日本語の堪能な在住外国人のリストアップとともに、ITを活用したコミュニケーションシステムなども必要になります。

9.情報発信

まだまだ、日本語以外の言語での情報発信は遅れています。観光地や施設の情報は、外国語ではほとんどないところがたくさんあります。これまでの観光地はあくまでも日本人をターゲットにした情報提供でした。もっと積極的に外国語での情報発信をしていくことが求められます。

10.外国の資本主導の観光産業

外国人旅行者が増えても、外国からのパックツアーで、外国人が経営する土産物屋や宿泊施設だけを使うというのでは、日本の体験も中途半端になります。日本の観光業界がしっかりと外国人向けに対応すべきです。

11.交流の場

せっかく、日本にやってきた外国人です。日本人と交流できる場を提供することは意味があります。日本文化を教える施設や交流できる施設、場の設定をすることも重要なことです。こうした人と人との交流が日本へのリピータを増やすことになりますし、なにより、国際交流の輪を広げ、平和に貢献することになります。日本人にとっても国際感覚を高めることにつながります。

12.海外の経済変動

外国人旅行者は海外の経済変動に大きく左右されます。その変動に対応できる仕組みを作っておくことが必要です。1国の旅行者に頼っていると、ちょっとした外交問題などでも大きなダメージを受けることになります。様々な国からの旅行者に対応できるようにしておかなければなりません。

確かに、訪日外国人旅行者の数が増えることは大きなチャンスです。しかし、しっかりとして対応なしに数だけが急増すると、それは混乱を引き起こしかねません。今から上記の課題に対応して、国際国家、観光立国として発展していきたいものです。

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